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患者さんの声4:アクロメガリー広報センター:ノバルティスファーマ

米国留学中に手術。帰国後は日米患者会のかけ橋に。

南雲(なんぐも) 彩佳さん 27歳

南雲(なんぐも) 彩佳さん 27歳※年齢はインタビュー当時のものです

治療歴
24歳のとき、視野狭窄がきっかけで下垂体腫瘍が見つかる。この時は病名を知らず。
診断の翌月に手術を受ける。髄液漏のトラブルあり。術後、アクロメガリーと診断される。
術後も腫瘍の一部が残ってしまったため、薬による治療を開始。現在はコントロール良好。

術後のショックが大きかった。

私は心理カウンセラーをめざしてアメリカに留学していたときに下垂体腫瘍が見つかり、手術を受けました。きっかけは、高速道路で右車線への合流時に限って「あわや接触」というケースが続いたこと。右目の耳側半盲でした。脳内で視神経が圧迫されると視野狭窄が起こることは人体解剖学の授業で習っていたので、下垂体腫瘍だろうと見当がつきました。

手術前は、腫瘍を取れば完治するものと単純に思っていて、アクロメガリーだとは知りませんでした。アメリカでは、詳しい自分の病状を知るためには、ラボ(検査室)に自分でレポートを取りに行かなくてはならないのですが、そのシステムを知らず、病名を聞いていなくて…。術後、IGF-1の数値の悪さを指摘され、継続的な治療が必要だと知り愕然としました。しかも医師に聞いた診断名は、アクロメガリー。実は生理学の授業で病気について習っていたのですが、そのときは「私の顔も変化しているかも…」と疑念がよぎったものの、「こんなに低い確率の病気になるはずはない」と、それ以上考えないようにしてしまっていました。10代の頃から外見コンプレックスで摂食障害になり、それをようやく克服できた矢先に、また外見に関わる病気になったことは、大きなショックでした。

また医療制度が日本と大きく異なる米国では、薬物治療の経済的負担も大変なものでした。アクロメガリーの場合、継続的に薬を使用することが必要だと分かっていたのですが、1回の薬代が、当時私が加入していた保険でカバーできる1年間の薬代を超えてしまっていました。とても月々払える額ではなく、何とか製薬会社のPAP(財政支援を受ける資格のある患者を援助する、患者支援プログラム)を利用することで治療を行いましたが、闘病しながら留学生活を続ける体力・気力がなくなり、翌年帰国することになりました。

米国患者会での活動、そして日米患者会のかけ橋に。

アメリカにいた頃、設立間もなくメンバーになったのが縁で、私は「Acromegaly Community」という、アクロメガリー患者のサポートグループの日本代表として、現在活動しています。このコミュニティは、アメリカのみならず、ヨーロッパ、メキシコ、中東、オーストラリアなどから約330人のメンバーが参加している世界規模の患者会。メンバーの中には家族、医療関係者、ソーシャルワーカーなども加わっていて、文献・治験の紹介など治療情報の提供、患者同士の情報交換、感情面のサポート、さらには政府へ薬価と保険の問題を提起するロビーイング活動なども行っています。

昨年からはじまった闘病記出版プロジェクトも、2010年11月にはアメリカで形になる予定です。この闘病記はいろいろな患者さんの体験談を集めた十数章からなる記録。多くの患者さんに協力いただき、「病気を知ってほしい」という強い熱意を感じました。和訳版の出版にも取り組む予定です。

今後は、米国内分泌学会(The Endocrine Society)などが発表する最新の研究論文の概略を日本語に訳し、日本の患者会である「下垂体患者の会」などを通じて、新しい治療情報を迅速に日本へ紹介したいとも考えています。

診療の質を高めるために。

アクロメガリーは希少疾病で慢性疾患という2つの側面を持っています。

希少疾患ということで患者は孤独感に陥りがちですが、「Acromegaly Community」や「下垂体患者の会」など同じ患者仲間のコミュニティが存在することを、知ってほしいと思います。病気を一人で抱え込むのは辛いもの。不安や弱音を吐ける場があると癒されますし、病気を乗り越える原動力にもなります。私自身がそうでした。

慢性疾患ということでは、患者自身が病気のことを学習し、治療に積極的に関わることが大切です。私は病院での病名告知に同席してくれたアメリカ人の友人から、「質問事項をあらかじめ書いて用意する」という米国流患者の心得を学びました。日本の病院は3分診療などと揶揄されますが、この3分は患者に与えられたプレゼンテーションの時間だと考え、前もって準備することが、診療の質を高めることにつながります。慢性疾患の場合、自分の状況を医師に的確に伝えることは患者の責任でもあると思います。

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