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専門医のおはなし寺本明先生:アクロメガリー広報センター

「アクロメガリーは気づきの病気」

寺本 明先生

アクロメガリー広報センター 顧問 寺本 明先生
日本医科大学 名誉教授・東京労災病院 院長
日本脳神経外科学会 前理事長
日本神経病理学会 名誉会員
日本間脳下垂体腫瘍学会 名誉会員

アクロメガリーは推定発症時から発見まで平均9年と言われていますが、なぜこのように診断がつくまでに時間がかかってしまうのでしょうか?

この病気の特徴である顔つきの変化や手足の肥大はゆっくりと進行するため、本人や周囲はなかなか気づきません。また頭痛や関節の痛みなどその他の症状も、一つひとつはあまりに一般的な症状のため、そこに別の病気が潜んでいるとは想像しにくいのでしょう。このため、診断までに時間がかかっている現実があります。しかし、体は一生懸命にいろいろなサインを出している。それをいかにキャッチするかという意味で、アクロメガリーは“気づきの病気”なのです。

アクロメガリーに気づかず、適切な治療をしないままでいるとどうなるのでしょうか

成長ホルモン(GH)の過剰分泌が、体の内部にも悪影響をもたらします。糖尿病、高血圧症、高脂血症などの合併症を併発したり、心臓肥大症、心筋梗塞、脳血管障害、大腸がんなどの深刻な病気を引き起こす可能性も高く、適切な治療をしないでいると平均で10年~15年程度寿命を縮めるといわれています。
アクロメガリー患者さんが高血圧症や糖尿病といった合併症を併発している場合の多くは成長ホルモンの過剰がこれらを引き起こしたり、悪影響を与えています。ですので、成長ホルモン産生脳下垂体腫瘍の切除といったアクロメガリーに対する適切な治療を行うと、合併症の症状が一段階改善するという結果も得られています。だからこそ、早期発見と早期治療が非常に重要なのです。

専門医のお立場から、寺本先生が早期発見のために力を入れていることはありますか?

アクロメガリーは希少疾病で認知度が低いため、患者さん自身がアクロメガリーと気づき専門医を受診することはこれまでほとんどありませんでした。やはり発見のきっかけを作るのは、主治医をはじめとする医療関係者です。そこで、私が顧問を務めるアクロメガリー広報センターでは、臨床所見のポイントをまとめ、内科・呼吸器科・耳鼻咽喉科・婦人科・整形外科・神経内科・歯科などの関係各科への注意喚起を呼びかけています。専門医ではない各診療科の先生方は実際にアクロメガリー患者さんを診療する機会が非常に少ないため、こうした活動が必要なのです。
さらに、この病気自体をより広く一般にも知ってもらうための啓発活動も行っていますが、これが患者さん自身に“気づき”を与えるきっかけになればと考えています。

最近では新聞やテレビなどでアクロメガリーが取り上げられたことから、患者さん自身が気づくケースも徐々に増えているそうですね。「自分ももしかしたら…」と不安な場合は、どうすればよいでしょう?

アクロメガリーの専門医である内分泌科医または脳神経外科医を受診するのが一番です。あるいは最初はかかりつけの内科で医師に相談し、成長ホルモン(GH)インスリン様成長因子(IGF-1)の量を血液検査で調べてもらうのも、一つの方法です。
また事前に情報を集めておくことで、検査や治療に冷静に向き合うことができるでしょう。アクロメガリーの情報はこのサイトで調べられるほか、患者会などでも患者さんの立場からの情報を発信していますから、ご自分でも積極的に情報を集めてみてください。

患者さんへのメッセージをお願いします。

アクロメガリーの原因である脳下垂体腫瘍は基本的に良性で、適切な治療を受ければほとんどの方が健康な社会生活や家庭生活を送ることができます。「けっして悲観的になる病気ではない」ということをぜひ知っておいていただきたいと思います。ただ脳下垂体腫瘍の切除手術後も、定期的に検査を受け、治療を根気よく続ける必要があります。
この病気に対して私たち医療者側は、腫瘍を切除する脳神経外科医、ホルモンバランスの面から治療にあたる内分泌科医、そして場合によっては放射線科医が加わって、チーム医療を実践します。病気のことや治療法で少しでもわからないことがあれば、納得いくまで先生方に質問・相談し、患者さん自身と医療チームが一緒になって病気の治療に取り組むことが大切です。

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